こんにちは。Halcana(@halcana21)です。
今回はカラーコーディネーター検定スタンダードクラスの範囲から、色の恒常性を解説します。
参考:
『スピード合格!カラーコーディネーター【スタンダードクラス】テキスト&問題集』
垣田玲子・著(2020) 株式会社ナツメ社
色の恒常性とは?
さっそく色の恒常性について解説していきます。まずは定義を確認し、次に恒常性を実感するための画像を見て理解を深めていきましょう!
定義
色の恒常性とは、照明光が変わって目に入る光が変わっても、脳には同じ色として知覚される現象を言います。
目に入る光が変わると?
まず、「照明光が変わって目に入る光が変わる」とはどういう意味でしょうか?
前回の内容を覚えていますか?光には演色性という性質があり、同じ色の光でも、含まれている光の割合や種類は異なるため目に届く光も変わってきます。その結果、演色性も変わってくるのです。
演色性ってなんだっけ?という方はこちら↓
光の演色性とは?日常の実例も挙げて解説します【カラーコーディネーター検定スタンダードクラス】
例えば、照明光の種類(自然光、蛍光灯、LED等)が変われば、目に届く光が変わります。その結果、同じ物体を見ていたとしても、実際に目に届く光は異なり、違う色に見えるという現象が起きます。
色の恒常性とは
しかし、私たちの脳は不思議なもので、目に届く光が違っても、(同じ物体は)同じ色をしていると認識するのです。
この現象を、色の恒常性(あるものを常に一定に認識しようとする性質)と言います。この現象は、普段見慣れているものに対し、特定の色の印象が強く残っている場合によく起きます。
ちなみに、恒常性は大きさ、形、明るさなどに対してもはたらきます。
恒常性はものや現象自体の性質ではなく、僕たちの脳で起きている現象なんだよ。
まとめ
ここまでのポイントをまとめましょう。
- 色の恒常性=照明光が変わって目に入る光が変わっても、脳には同じ色として知覚される現象
- 普段見慣れているものに対し、特定の色の印象が強く残っている場合によく起きる現象
- 恒常性とは、私たちの脳の性質である
実例
実際には異なる色なのに同じ色に認識する、とはどういう意味なのでしょうか?
まず、次の写真を見てみましょう。
トマトだ!美味しそう。
このトマトの色はどう見えているかというと、以下のようになるよ。
まあそうだよね。トマトは赤いし…
じゃあ、この写真に色フィルターをかけたものを見てみよう。
これは青いフィルターをかけたもの。実際の色は水色と紫だから、オリジナルの色とは色相が異なるよね。でもトマトは赤みがあるように見えない?
写真の色と比べると、右側の抽出した色ほど青みを感じないや!光が反射している部分も白っぽく見えるし…
そうでしょ?他の例も見てみよう。
実際の色と抽出した色はやっぱり違って見えるな… 本当に同じ色?
それが色の恒常性なんだよ。トマトは「赤い」という印象が強く残っているから、それに引っ張られて脳が赤いと認識しているんだ。
でも写真を見てわかるように、実際の色相はそれぞれの写真で全く異なっているんだよ。
目の錯覚ってことか!面白いね。
そういえば、結構前に話題になった「人によって色の見え方が変わるドレス」の話を知らない?このドレスは青黒か白金かで論争が起きたんだよ。これも恒常性によって脳が勝手に色を補正したことが原因なんだ。
人によって色が変わる不思議なドレスの写真とその解説は、以下の記事から読んでみてください!
エンタメ!裏読みWAVE 「錯視の不思議、ドレスは青か金か カギは周囲の光」小林明(2015)
おわりに
最後にもう一度、恒常性のポイントを復習しましょう。
- 色の恒常性=照明光が変わって目に入る光が変わっても、脳には同じ色として知覚される現象
- 普段見慣れているものに対し、特定の色の印象が強く残っている場合によく起きる現象
- 恒常性とは、私たちの脳の性質である
脳の補正によって、異なる色が同じ色として知覚されてしまう不思議な現象が恒常性でした。
さて、あなたが今見ている色は、本当に正しい色なのでしょうか…?あなたの思いこみかもしれませんよ…?(謎の問いかけで終わる)
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ところで、恒常性があるとはいえ、同じ物体でも光の効果によって見える色が変わります。今回比較した青や緑などの色味の強い光はもちろんですが、同じ白色光でも結構変わってくるんです!違いを生む演色性について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
そしてもう一つ!照度という指標も色の見え方に影響を与えるんです!こちらもあわせて読めば、写真を色鮮やかに撮るコツがわかるかも?
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